Antimycin A って何してるんですか?PSIのサイクリック・エレクトロン・フロー阻害剤ですか?ご質問いただきました
ご質問をいただきました。その方は、光合成でのサイクリック・エレクトロン・フローに興味をもたれたそうです。実際に、ご研究される前に調査されたようです。その中で、PSIでのフェレドキシンに依存したサイクリック・エレクトロン・フロー(FQRにより触媒されるサイクリック・エレクトロン・フロー)の阻害剤、実はそうではない!など多くの報告を見つけられたそうです。 FQRの信憑性は別として、チラコイド膜あるいは葉緑体レベルでantimycin Aの阻害部位は、PSIIに存在するCytochrome b559であることは間違いないですね。私が、PCPのRapid Paper (1995)に報告しております。私の恩師である浅田先生にPCPで始まるRapid Paperに投稿してくださいました。名誉なことです。その後、ビュルツブルグ大学での私のスーパーバイザーであるUlrich Schriber先生がセバスチャン・ハイマンと追試をなされてます。しっかりと再現性を確認されてます。 今回、ご質問いただいた方へも正しい情報として、この事実をお伝えしました。1995年、浅田


ご卒業おめでとうございます。
今日は、午後から会議で教養の建物へ移動でした。この途中にきれいな桜、すっかり春です。奈良より早いですね。さすがです。 この春に卒業の古谷さん、升田さんからおいしいものをいただきました。お気遣いいただき感謝します。古谷さんはご自分で公表していただくとして、升田さんが発見した事実は頑張って公表しなければ、、、楽しみです。
光合成生理の頑健性を追い求めていくと、、、、、、自ずと答えが、、、、
つい先日、私の光合成モデルがジャーナル’Antioxidants’ (IF > 4.5)に受理されました(https://www.mdpi.com/2076-3921/9/3/230)。このモデルの特徴は、光合成生物、特に今回は主要作物の光合成形態であるC3植物の決まりごとに基づいて作られているということです。つまり、C3植物が示す頑健性を把握し、そして新たに発見し、ただただその頑健性から導かれる結論を明らかにしたものです。ですので、モデルの安定性は高く、普遍的なものと判断しております。 光合成生物でのROSストレス、その本当の姿を知りたくて「P700酸化システム」をこれまで確立してきました。この過程で、なぜ「P700酸化システム」は存在しているのか?ということに対して明確に答えを明らかにしてきました。しかし、「P700酸化システム」がどのように機能しているかということに対して、その答えを記述することをまだ行っていませんでした。答えの記述へのアプローチを思案していました。 世界では、光合成に代わるオルタナティブ・エレクトロン・フロー (Alter
光呼吸論文_その2
ここでは、今回の光呼吸解析で新規に明らかになったことを紹介します。 非常に重要なことでした。葉緑体光合成電子伝達反応において、光化学系I (PSI)反応中心クロロフィルP700酸化にかかわるシトクロムb6/f複合体でのプラストキノール酸化反応は、これまで長い間チラコイド膜ルーメン空間でのプロトン蓄積、つまりルーメン酸性化により抑制されると考えられてきました。海外の研究者が見出して提唱しています。プラストキノール酸化反応の抑制は、PSIへの電子の流れを抑制するのでP700が酸化されます。しかしながら、今回、我々は、コムギ生葉において光合成の抑制とともにチラコイド膜ルーメン酸性化が生じないにもかかわらず、P700酸化が生じていることを世界で初めて見出しました。まさか、高等植物の生葉で、この生理現象に出会うとは思いもしませんでした。 なぜなら、この生理現象(チラコイド膜ルーメン酸性化なしにP700が酸化されるという事実)は、ラン藻で見出されていた事実です。そして、この生理現象は、世界で初めて私たちが見出したもので、RISE (reduction-ind
あたらしい光呼吸論文
和田先生の論文(Wada, S.; Suzuki, Y.; Miyake, C. Photorespiration Enhances Acidification of the Thylakoid Lumen, Reduces the Plastoquinone Pool, and Contributes to the Oxidation of P700 at a Lower Partial Pressure of CO2 in Wheat Leaves. Plants 2020, 9, 319. https://doi.org/10.3390/plants9030319)が公表されました。光呼吸によるP700酸化のメカニズムを解明したものです。非常に重要な成果となりました。Plantsエディターの先生からフィーチャー(Feature)論文にしていただきました。論文のやり取りの中で、非常に有意義なご指摘を多数いただき、論文の頑健性が上がりました。エディターの先生からは、いつも多くのことを学ばせていただいております。私自身の学問への甘さ、自覚するば