三宅 親弘
at 神戸大学農学部
植物栄養学
■ このHPは、”三宅親弘” 個人のホームページです。私の研究などなどに関するものを
徒然なるままに記載しております。
■ 神戸大学大学院・農学研究科・植物栄養学研究室に着任して15年目の始まりです。
■ 9回裏ですね。最近の研究展開で延長戦に向かう必要が生じました。瀬島さんの論文
(Sejima et al. 2014)のインパクトは大きいですね。それまで、植物を含め光合成生物は、環境ストレスにさらされ、光合成が抑制される状況になると、活性酸素(ROS)が生成し酸化障害が生じる、という強力な定説が存在していました。そのため、生成したROSの消去系の解明が盛んになされるとともに、消去系の強化が多くの組換え体作物作出という形でなされてきました。瀬島さんの論文は、その定説を覆すものでした。光合成生物は、そもそもROS生成を抑制するメカニズムをもっていたことを実証しました。光合成効率が低下する強光あるいは低CO2下、ROS生成部位である光化学系Iでの電子の流れを抑制し、ROSによる酸化障害を回避することができたのです。これが、「P700酸化」という生理現象として見出されました。いろんなところでお話ししていますが、「P700酸化」そのものは80年代後半に見出されていましたが、光合成生理解析の中で役割を実証できたことが大きかったですね。そして、「P700酸化」の具体的役割が、古谷さんの論文(Furutani et al. 2023)で初めて示されました。ROS生成部位でO2を還元するPSI電子伝達体への電子蓄積回避がP700酸化、つまりROS生成抑制の本質でした。瀬島さんの論文から9年後のことですね。「ROS生成抑制」というダイナミックな生理現象に出会え、その概念を作り上げていく研究は、ラン藻の解析で「RISE現象」の発見にも至りました。これは、釈さんの論文(Shaku et al. 2016)に報告しています。高等植物の解析でも観測され、delta-pHが応答しない状況の中、「P700酸化」をもたらすという全く新しいものです。生物の環境適応・順化戦略において多くの手段を進化の中でそろえていることは何も珍しいことではなく、まさしくROS生成抑制に対しても見られる戦略ですね。「P700酸化」という生理現象は、市販の解析機器でいともたやすく観測でき、光合成生物がROS生成抑制をしていることに触れることができます。瀬島さんの論文以降、研究室の学生さんが多くの光合成生物でP700酸化とROSによる酸化障害の相関コレクションをやってくださり、「ROS生成抑制」のコンセプトを強力なものにしてくださいました。先ほど述べましたが、光合成効率が低下するストレス環境に対して、P700酸化として観測される「ROS生成抑制」は強力なメカニズムです。
現在、新たな「ROS生成抑制」に出会えたようです。しかも、一つだけではなさそうです。学生さん[s]が新たに見出した事実ですね。そこには、まったく新規コンセプトを導入しなければ理解できないようです。これが、延長戦に入らなければならない理由です。近いうちに、ご報告できるよう精進したいと思います。
■ [研究活動]で記載した内容を大幅に更新する必要が生じました。このことに言及したの
が2021年でした。ホームページの研究活動内容が古くなっていくということは、良いこ
となのかもしれません。ただ、 徒然なスタイルでは追いつかない状況です。
■ HPの更新は、限りある時間の中で行う予定です。これまで通り徒然で不定期更新です。
■ 更新内容を新着情報に記載するようにします。
■ 2016年4月までの研究内容および成果は、以前の HP
(http://cmiyake.yukimizake.net/index.html) をご覧ください。
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神戸大学大学院農学研究科
植物栄養学
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2023 Oct 3rd