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嶋川くんの論文(変動光実験)が公表されました

私たちが、2014年に報告した論文(Plant Cell Physiol. 2014 Jun;55(6):1184-93. doi: 10.1093/pcp/pcu061)の続報です。続報に4年も要するのかと思われますが、その間、非常に多くの発見がありました。このことに関しては、すでに多くの論文で報告しております。それができたのも、Sejima et al. (2014)論文は、P700酸化の本質を実証したものだったからです。In vivo生葉レベルで、PSI 酸化障害の発生とその抑制を見事に示した初めての論文でした。つまり、活性酸素(ROS)生成が制御されている事実(論文の意図)を世界で初めて示したものでした。暗黒下、光合成が機能していない状況(➡これが重要なことで、P700酸化が生じていない時)、光合成電子伝達系に電子を満たすためにパルス照射するわけですね。ここに、パルス光の強度は関係ないんですね。強ければ早く酸化障害が観測される、弱ければ障害発生までに多くの時間を要する、ただ確実に酸化障害が生じるわけです。この本質をつかまれた先生、研究者の方と、その後、多くの議論をすることができ、その後の多くの論文で報告してきたように分子メカニズムの解明、さらにP700酸化を誘導するための多様性の発見に至りました。

今回、嶋川くんの論文(Shimakawa and Miyake 2018)で、新たに変動光実験を行ったわけですが、その目的は、P700酸化システムの生理的役割・分子メカニズムをさらに理解するためです。これまでの世界で報告されてきた矩形変動光を採用しませんでした。Wuerzburg以来の友人Christof Klughammer博士に、Dual-PAMの光制御に関し、sinusカーブ・モードの導入を依頼しました。これは、周期、位相を任意に設定することが可能であり、光合成での暗反応の活性化を評価出来るんですね。周期が短いと活性化が光強度の変化に追随できない、一方、周期が長いと活性化が光強度の変化に追随できるんですね。結果は、まさしく私の仮説通りでした。このようなときは、「納得」ですね。

そのような実験条件で何が明らかになったかは、下記の論文をご覧ください。非常に多くの大事なことが潜んでいることが明らかになりました。今年、高木くん(現在、東北大学)が「PGR5/PGRLおよびNDHが、PSIでの循環的電子伝達反応(CEF)に機能していないこと、PGR5/PGRLの機能」を明らかにし論文報告しました(Takagi and Miyake, Physiol Plant. 2018 Mar 31. doi: 10.1111/ppl.12723)。さらに高木くんは、CEFを阻害するといわれていた世界的にも有名な阻害剤Antimycin Aが実は全く異なる部位を阻害していることも報告しています(Photosynth Res. 2018 May 22. doi: 10.1007/s11120-018-0519-7)。サイエンスは進歩ですね。確かな事実だけが残っていくというのは歴史が語っていますからね。これらの事実をもって、今回の嶋川くんの論文(Shimakawa and Miyake 2018)のデータを考察すると面白いですね。その解明は、少しづつ進めますかね。

Journal: Plant Direct

Article: Changing frequency of fluctuating light reveals the molecular mechanism for P700 oxidation in plant leaves  (Article DOI: 10.1002/pld3.73)

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