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「P700酸化ワールド」の頑健性と普遍性

  • 三宅 親弘
  • 2018年5月29日
  • 読了時間: 2分

今、パリにいる嶋川さんの論文( https://doi.org/10.1007/s11120-018-0522-z)が掲載されました。

私たちが作り上げたコンセプト「P700酸化システム」によるROS生成抑制が、ほぼすべて(すべてではないですよ~~~検証していないのもいますので:ただ、確信的です)の光合成生物に成立するようです。P700が酸化されさえすれば、過剰な光エネルギーをうまく安全に処理することができ、酸化傷害の回避を達成できます。

昨年まで話題を呼んでいたFLVによるPSI防御ですが、FLV遺伝子は裸子植物から被子植物への進化の過程で捨てられ、被子植物が困るような議論がなされていました。実は、このFLVはラン藻が真核光合成生物である緑藻や紅藻に進化するときにすでに紅藻では捨てられていたんですね。つまり、光合成生物の進化の過程で、FLVは二度も捨てられたんですね。でも、紅藻から珪藻、褐藻などへ進化していくときFLVは全く要求されなかったようです。それはなぜか?これらの藻類はFLVなどなくてもP700を酸化できるんですね。これさえできれば、安全に光合成の営みができるんですね。太陽光の下で。つまり、被子植物は、FLVなどもたなくても良かったんですね。私たちの「P700酸化システム」さえ機能すれば(実際に被子植物で機能しています)、大丈夫なんですね。

コンセプト「P700酸化システム」の普遍性、どこまで成立するのやら、とその検証が楽しみです。一つ一つ出会う実験事実との照合は、日々学生さんたちとの議論です。

今回、新たな疑問が見えてきました。そこには、私たちがまだ出会ったことのない分子メカニズムが潜んでおります。P700を酸化するために酸素(O2)を必要としない藻類がいるんですね。驚きですね。知らない世界ですね。O2を使わなくていいのであれば、安全かつ最強のメカニズムかもしれません。活性酸素(ROS)生成の危険性も低いでしょうから。研究が進めば進むほど、新しさが湧いてきます。

 
 
 

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