無傷葉緑体実験 ~O2代謝のよりよい実験材料~
光合成生物でのO2代謝をまとめる機会があり、昔々多くのことを学んだ論文を再読しておりました(下記)。Wuerzburg大学時代のスーパーバイザーであるSchreiber先生の論文です。NPQおよびdelta-pH誘導は、The Water-Water Cycle(その当時は、Mehler-Ascorbate Peroxidase Sequence (MAP-Pathway)と呼ばれていました)によるものであるという結論です。いまだ結論が出ていないCyclic electron flow around PSI (CEF)の寄与は無視できるほど小さいというものです。Schreiber先生は無傷葉緑体(intact chloroplasts)を使って見事に証明されています。この結果は、Takagi and Miyake (2018)の生葉(intact leaf)解析のデータとも一致していますね。無傷葉緑体でのデータは、矛盾なく生葉データと結論が同じになることが多いですね。このようにして、サイエンスが繋がり前に進むという体験は貴重です。
ご興味ある方は、下記の論文をご一読ください。学ぶところが多いと思います。
Schreiber 先生の論文
Schreiber, U., Nuebauer, C. (1990) O2-dependent electron flow, membrane energization and the mechanism of non-photochemical quenching of chlorophyll fluorescence. Photosynth Res 25: 279-293.
Hormann, H., Nuebauer, C., Schreiber, U. (1994) An active Mehler-peroxidase reaction sequence can prevent cyclic PSI electron transport in the presence of dioxygen in intact spinach chloroplasts. Photosynth Res 41: 429-437.
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