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P700 酸化ワールド ~ Electron Sink 制御 ~

April 13, 2018

高木くんの論文が Physiologia Plantarum オンライン (https://doi.org/10.1111/ppl.12723) に掲載されました。

 

論文タイトル:PROTON GRADIENT REGULATION 5 supports linear electron flow to oxidize photosystem I

 

本論文は、長年議論がなされ、その役割についてコンセンサスが得られていなかったタンパク質 PGR5 (Proton Gradient Regulation 5) の生理機能をようやく明らかにしたものです。概要は以下の通り。

(1)   光合成において、フェレドキンシン (Fd) のキネティクスは光合成および光呼吸が駆動するPhotosynthetic Linear Electron Flow (LEF) によって決定されている。

(2)   Fdの酸化速度はLEFのフラックスに対して正の線形相関をもつ。

(3)   Fdの還元レベルはLEFフラックスにより決定される。

(4)   つまり、60年代にin vitroの系で概念が構築されていたFdを介する光化学系I (PSI) 循環的電子伝達反応(Fd-CEF) の速度は、生葉においてはLEFのフラックスには到底およびもしないことは判明した。

(5)   速度論的に明確な結論が、世界で初めて示された。

(6)   (1)~(5)までは、野生型の植物で普遍的に観測されるようです(今後、一つずつ視点を変えて論文公表されていくでしょう)。

(7)   さらに、この論文では、Fd-CEFを駆動するために必要であると提唱され続けてきたタンパク質PGR5の役割を検証しています。

(8)   その結果、Fdの還元速度および酸化速度のいずれにもPGR5が影響を与えることが示されました。つまり、LEFにおいてPGR5が機能していることが世界で初めて明確に結論付けられました。

(9)   私たちが明らかにしたPGR5のこの性質は、長年、その機能が議論され結論が得られなかった多くの報告されてきた表現型を説明するものでした。このことに関しては、15年ほど前に予想した私のコンセプトが正しかったことを示すものでした。

(10)                     この論文におけるデータについては、ビュルツブルグのシュライバー先生(私のポスドク時代のスーパーバイザー)、パリのクリーガー先生、ピエール先生らと多くの議論ができたことがよかったと思っております。互いの武器としての速度論的解析は速やかなコンセンサス形成に至るものでした。

 

 

次なる課題は?

(1)   この論文のDiscussionで提案させて戴いてます:PSIのフラックスは、常にLEFのフラックスを上回ります。これは、Fd-CEFのメディエーターであると提唱され続けてきたPGR5 and PGRL1がなくても、LEFが野生型と同じほど与えられれば。最近、Nature PlantsおよびPlant Physiologyで報告された論文では、PGR5が欠損していても、PSI還元側で電子伝達反応を促進させることができれば、生葉においてCEF活性が見掛け上、明確に検出されます[Y(I) > Y(II)]。

(2)   PGR5が欠損した生葉で観測される明確なCEF活性の実態はいったい何でしょうか?生葉で観測されるCEF活性はPGR5とは全く関係ないことは、これら二つの論文が明確に示しているんですね。この活性には、上述したようにフェレドキシン(Fd)は全く関与していません。面白いですね、、、、、通説と異なりますね、、、、、、。

(3)   このCEF活性 [delta_Y(I) = Y(I) – Y(II)]については、すでに検討を始めており、近く報告できるかと思っております。PSIをご専門とされている先生方と議論させていただき、コンセンサスをいただいている状況です。

(4)   生葉で観測されるデータに対して、速度論的に説明し得るin vitro解析データは、非常に心強く有難いものですね。

 

 

P700酸化システム

  私が提唱した「P700酸化システム」の全容が随分と明らかになってきました。いかにして、光化学系I (PSI)反応中心クロロフィルP700が酸化されるのか、光合成生物が進化の過程で巧みな戦略をとってきたのか、やればやるほど新鮮な事実に出会いますね。

  新緑の季節、思いっきり展開していく生葉を見ると、ROS生成の脅威と戦っているこのシステムに感心させられます。

 

 

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